Federal Budget 2020...21 年の予算はGDP比11%の2,137...

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Federal Budget 2020 A review of the Budget's major business implications October 2020 —— KPMG.com.au/budget

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Federal Budget 2020 A review of the Budget's major business implications

October 2020 —— KPMG.com.au/budget

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Contents

経済分析 ......................................................................... 3

経済予測 ......................................................................... 4

政府の経済支援策 ........................................................... 5

財政状況見通しの主要な変更 ......................................... 6

個人税制 ......................................................................... 7

若年層の雇用 .................................................................. 8

法人税 ............................................................................. 9

国際課税 ....................................................................... 11

物品サービス税 (GST) ................................................... 12

イノベーションと事業成長のための資金提供 .............. 13

移民プログラム ............................................................. 15

インフラと都市開発 ..................................................... 16

気候変動及び環境 ......................................................... 17

ヘルスセクター ............................................................. 19

内政、国家安全とサイバーセキュリティ― .................. 20

農業関連産業 ................................................................ 21

政府収支の主な変更点 .................................................. 23

CFO / 税務担当者向けチェックリスト ......................... 24

Contact us .................................................................... 25

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経済分析 政府は、今回の連邦予算案を通じ、プライベートセクター

が COVID-19 後の経済回復を牽引することに対して

“全賭け”する形となった。

フライデンバーグ財務相は、個人所得税減税の前倒し、即時償却制度の強化、新規雇用の促進と倒産回避を目的

とした助成金の交付を含む幅広い政策によって、プライベートセクターに経済の牽引役を期待している。

これらの政策は、先行き不透明な経済環境に対して、消費者及び投資家が上記の経済刺激策に対してポジティブ

な反応を示すことを前提としている。政府が永続的に経済の下支えをすることは困難であり、今期の連邦予算を

好機としてプライベートセクターに対してその事実を突きつけ、自立した経済成長を促すことを期待している。

懸念は、今回の刺激策が短期的で、将来の需要を前借りすることによって問題を先送りにしたとも捉えられる

点にある。この懸念は予算案の基盤となる経済予測に見て取れる。プライベートセクターの最終需要は、2020-21 年度において前年度比 3.5%減少、2021-22 年度において前年度比 7%の上昇を見込むのに対し、パブリック

セクターにおいては、2020-21 年度において前年度比 5.75%上昇、2021-22 年度において前年度比 2.5%の

上昇と逆方向の予測を立てている。

また、政府主導の個人消費と投資支出の刺激策の結果として、今年度 1.75%、翌年度 1.5%のインフレ率を達成

することを見込んでいる。そして、連邦予算案に盛り込まれた刺激策の結果として、高い確率での物価上昇が見

込まれる。

ビジネスに対する新規雇用のインセンティブが拡充されたものの、翌年以降の失業補償の見通しが明確な形で

織り込まれなかったこともあり、迅速に再雇用を実現できるかは不透明なままである。

また、当初の予想通り、中長期における構造改革及び生産性の向上策は盛り込まれなかった。追加のインフラ投

資や NBN のアップグレードなどの施策はあるものの、今回の連邦予算案は COVID-19 に伴う不況の応急処置に

焦点を当てたものとなっている。我々は、翌年度の連邦予算案において経済構造改革を展開すると強く信じてい

る。なお、それらの多くは 2017 年度の productivity commission の“Shifting dial”レポートの中に織り込まれて

いる。

かつて、グローバル規模での災害時に、オーストラリアは移民に門戸を開き、彼らの技術と能力を活用すること

で、他国に比して早期に危機を切り抜けてきた。COVID-19 後の世界において、人々は、ウイルスの制御に

苦戦する国々から、オーストラリアを含む衛生 及び経済面において条件の良い国へ移動する可能性が高い。

したがって、今後どのように移民政策を再開していくのかを検討すべきであると言えよう。

Key Insights • 2020-21 年の予算は GDP 比 11%の 2,137 億豪ドルの赤字で、これは第二次世界大戦終戦時以来の水準である。 • 財務相は、プライベートセクターが家計消費、事業投資、新住居建設の回復を牽引することに強く期待している。 • 2021 年以降の失業者補償については不透明なままである。. • 構造改革、生産性の向上、移民促進策等は次年度の予算編成の焦点になると考えられる。

Brendan Rynne Chief Economist

“今回の連邦予算案は、低中所得者に対して、税

率の引下げ及び控除の増加を通じた税負担の軽

減を提供するものである。”

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経済予測 連邦予算案の解釈に当たり、経済におけるファンダメンタルズの不確実性は重要な考慮事項である。主たるマク

ロ経済における指標は以下のとおりである。

2019-20 2020-21 2021-22 2022-23 2023-24

GDP (実質) -0.2% -1.5% 4.8% 2.8% 3.0%

GDP は 2 四半期連続のマイナスで、特に 4-6 月期においてマイナス 7%という歴史的な下落を記録した。

COVID 関連の規制緩和および過去に類をみない規模での政府の家計消費及び投資の刺激策によって、GDP 成長率の回復が期待される

。人口成長率の減少は、経済を停滞されうる要因となっており、COVID-19 のさらなる拡大のリスクも依然として高いままである。

2019-20 2020-21 2021-22 2022-23 2023-24

失業率 7.0% 7.3% 6.5% 6.0% 5.5%

労働市場は、COVID-19 による深刻な影響を受けている。3 月から 5 月に記録された失業者の半分は再雇用を果たした。

政府は、JobKeeper を含む支援策を提供し、労働市場の統計から除外することで、公式の失業率を実態より

低いものとしている。失業率予測の実現 には、プライベートセクターにおける投資と消費の再興は不可欠なものとなっている。

2019-20 2020-21 2021-22 2022-23 2023-24

CPI -0.3% 1.8% 1.5% 1.8% 2.0%

政府の支援策により特定のマーケットにおいてインフレが生じる可能性はあるものの、全体としては、国内外の生産能力の余剰によりイ

ンフレが抑制され、2023-24 年度まで RBA のインフレ目標に到達しないと予想される。

2019-20 2020-21 2021-22 2022-23 2023-24

債務残高対 GDP比率 24.8% 36.1% 40.4% 42.8% 43.8%

オーストラリアの債務残高対 GDP 比率は、COVID-19 への対応として政府が実施した過去に類を見ない規模での経済刺激・支援策の結果

として上昇傾向にある。今回の連邦予算案において、追加の支援施策が提示されその結果が比率にも反映されており、上昇傾向は今後も

続くとみられている。

Source: Ashley Owens, https://www.firstlinks.com.au/australias-government-debt-and-interest-burden-can-we-afford-it, Commonwealth Treasury (Budget Paper No.1 2020-21)

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政府の経済支援策 2020 年 3 月から 2020 年 9 月において導入された政府の主たる支援策は以下のとおり。

Measure Rounded to nearest $5 billion

バランスシート支援(RBA及び連邦政府)

RBA ― 銀行へ$900億豪ドルの資金提供と 0.25%でのビジネスへの貸付 90

Australian Office of Financial Management ― 小規模事業主に対する支援策 15

銀行借入の 50%を対象とした小規模事業保障スキーム(SME Guarantee Scheme) 20

小計 125

財政支援(連邦政府)

2021 年 3 月 28 日までの 12 か月を対象とした JobKeeper 100

小規模事業に対するキャッシュブーストアプレンティス及びトレーニーの支援 35

COVID-19 JobKeeper 補填及び対象の拡大/社会保障受給者の家計支援 25

即時資産償却/加速度償却の増加 5

その他(健康保険パッケージ、介護の支援、特定地域・航空業界の支援を含む 20

小計 185

州およびテリトリー政府の支援(バランスシート支援及び財政支援)

小計(給与税の繰越・免除、補償金、健康保険パッケージを含む) 40

総計 350

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財政状況見通しの主要な変更 下記の表にて、2019-20 年度時点からの財政状況の見通し変更について要約している;

財政赤字の見通し- 基礎現金収支ベース ($ billion)

Government announcement

2019-20 2020-21 2021-22 2022-23 2023-24

2020-21 Budget (85.3) (213.7) (112.0) (87.9) (66.9)

July 2020 EFO* (85.8) (184.5) N/A N/A N/A

2019-20 mid-year EFO 5.0 6.1 8.4 4.0 N/A

2019-20 Budget 7.1 11.0 17.8 9.2 N/A

* 経済及び財務分析 - 2020 年 7 月に発表された経済見通しにおいて, 連邦政府は当該見通しが著しく不透明であるため、2022 - 23 年度以降の見通しの発表は見送っていた

公的純債務残高 ($billion)

Government announcement

2019-20 2020-21 2021-22 2022-23 2023-24

2020-21 Budget 491.2 703.2 812.1 899.8 966.2

July 2020 EFO 488.2 677.1 N/A N/A N/A

2019-20 mid-year EFO 392.3 379.2 364.5 360.8 N/A

2019-20 Budget 361.0 349.5 333.2 326.1 N/A

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個人税制 政府は、2022-23 年度に向けて法律化されていた個人所得

税減税を前倒し、2022 年 7 月 1 日に開始が予定されていた減税を 2020 年 7 月 1 日に遡って実施すると発表し

た。これにより税率 19%の区分の上限が現在の 37,000 豪ドルから 45,000 豪ドルに、32.5%の区分の上限が現在

の 90,000 豪ドルから 120,000 豪ドルに引き上げられる。この前倒し措置により、ほぼ全ての納税者は即時に減

税の恩恵を享受することとなる。個人所得税減税の次の段階(2024-25 年度)は主に中・高所得者に影響がある

が、開始日については今回の予算案での変更はなく、2024 年 7 月 1 日のままである。

予算案で発表された個人所得税率

Rate (%) Current 2020-21 ($) New 2020-21 ($)

0% 0 - 18,200 0 - 18,200

19% 18,201 - 37,000 18,201 - 45,000

30% - -

32.5% 37,001 - 90,000 45,001 - 120,000

37% 90,001 - 180,000 120,001 - 180,000

45% >180,000 >180,000

Low and Middle Income Tax Offset Up to 1,080 Up to 1,080

Low Income Tax Offset Up to 445 Up to 700

低所得者の税負担軽減

今回の予算案では、低所得者税額控除を現在の 445 豪ドルから 700 豪ドルに引き上げることにより、低所得者へ

の税負担を更に軽減する。当該税額控除は 2020 年 7 月 1 日からの適用となり、2020-21 年度の個人税申告から

適用可能となる。既存の低中所得者税額控除は継続適用され、2020-21 年度では最大 1,080 豪ドルを控除するこ

とができる。当初、この低中所得者税額控除は、今回前倒しされた所得税減税の適用開始時点で廃止される予定

であった。

従業員再研修に係る費用

現行の制度では、従業員への研修に係る費用について、その従業員の現在の業務内容と研修内容が十分に関係し

ていない場合は、フリンジベネフィットタックス(FBT)が雇用主に課せられている。今回の予算案では、従業

員の配置転換をサポートするため、解雇されたまたは解雇される予定の従業員に対する再研修費用に関して FBTの免除措置を導入することを意図している。また、連邦政府は、個人が再研修費用を直接支払った場合の当該費

用に係る個人所得税上の所得控除の導入についても検討するとした。

グラニーフラットへのキャピタルゲイン税の廃止

高齢者および身体障害者のための正式なグラニーフラットアレンジメントを対象としたキャピタルゲイン税の免

除措置が導入される。この措置は、2021 年 7 月 1 日から開始される予定であり、正式なアレンジメントを実施

する家族に対して税務面での妨げを取り除くことを意図している。

Key Insights • 前倒しされた個人所得税減税により、多くの従業員は即時に減税の恩恵を享受することが可能となる。 • 低所得者は、既存の低中所得者税額控除に加えて、更なる低所得者税額控除の恩恵を受ける。 • 連邦政府は、FBT の免税措置により従業員が新しいスキルを得て別の仕事に就くための障害を取り除く。

Ben Travers National Leader, People Services

“ 前倒しとなった個人所得税の軽減は多くの人々に

とって即効性のある待ち望まれた税制優遇措置で

ある。”

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若年層の雇用 若年層失業者の雇用に係る補助

政府の JobMaker プランでは、雇用主は 2020 年 10 月 7 日以降の 12 か月間、条件を満たす新規雇用一人当たり

に対し、「雇用クレジット」を受け取ることができると発表された。最大 12 か月間にわたり新規雇用一人当た

り、16 歳から 29 歳の新規雇用者に対して週に 200 豪ドル、30〜35 歳の新規雇用者に対しては週に 100 豪ドル

を支給するとした。

当該新規雇用者は、最低でも四半期平均で週 20 時間の労働実績があり、過去 3 か月のうち、求職者手当(Job Seeker)、青年手当(その他)、または育児手当を受け取っている必要がある。

また、重要な点として現在ジョブキーパーを申請している雇用者は JobMaker 雇用クレジットを申請することは

できない。

実習生および研修生に対する賃金補助金

雇用主は、新規または以前に雇用していた見習いおよび研修生を雇用する場合、四半期あたり 7 千豪ドルを

上限として、賃金の最大 50%が賃金補助金を受け取ることができる。

補助金は 2020 年 10 月 5 日から 2021 年 9 月 30 日まで実施され、10 万件を上限とする。

First Home Loan Deposit Scheme

2020 年 10 月 6 日より、初回住宅購入者向けの住宅ローン預金スキーム(First Home Loan Deposit Scheme、FHLDS)に 1 万件の申請枠を追加した。FHLLDS の申請条件の変更はなく、申請は居住目的で初めて住宅を購入

する場合に限定され、購入代金 5%のデポジットにて住宅ローン信用保険に加入せずとも購入が可能となる。

FHLDS は 2021 年 6 月 30 日まで利用可能となる。

Key Insights • 雇用クレジット(該当する 35 歳未満の従業員を雇用)及び新しい見習いや研修生の賃金補助金は、雇用主に対して

若いオーストラリア人の新規雇用の創出を促進する。

• FHLDS の追加申請枠は、政府は初回住宅購入者のみならず建設業界・不動産業界の雇用創出もサポートする。

Hayley Lock Partner, People Services

“パンデミックが若年層の雇用に大きな影響を与

える状況で、新規の雇用創出にフォーカスした

予算案は明るい話題である。”

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法人税 連邦予算案において、事業投資を刺激し、更なる

キャッシュフローの恩恵をもたらすための一時的な措置が提案された。

欠損金の繰戻し還付

グループ総売上が 50 億豪ドル未満の企業は、2019-20、2020-21 又は 2021-22 年度において生じた欠損金に関し

て、2018-19 年度以後に生じた課税所得と相殺するために繰り戻すことができ、実質的に過去に支払った法人税

の還付を受けることができる。

繰戻し還付は、欠損金が生じた年度において還付可能な税額控除を導入することにより実施される。しかしなが

ら、2019-20 年度の繰戻し還付のための税額控除は、2020-21 の税務申告書の提出を実質的に 1 年間遅らせて提

出することにより行われる。

還付可能な税額は、欠損金の繰戻し還付分に限定され過年度の課税所得を超過しての還付は行われない。また、

会社のフランキング勘定がマイナスとなることを避けるために実質的にフランキングクレジットの残高が上限と

される。

過年度において黒字であった企業が COVID-19 の影響で欠損ポジションとなった場合に当該企業を欠損金の繰戻

し還付制度で支援することに加え、本予算案では、企業が対象減価償却資産の取得価額の全額を費用処理するこ

とができる投資優遇措置(下記を参照)も導入される。

欠損金の繰戻し還付の適用は任意であり、企業は引続き既存の欠損金の繰越控除制度による欠損金の繰越しを選

択することも可能である。

一時的な資産の即時償却制度の強化

連邦政府は予算案において、資産の即時償却制度をより強化するための一時的な税制優遇措置の導入を発表し

た。

2020 年 10 月 6 日午後 7 時 30 分から 2022 年 6 月 30 日までの間、グループ総売上が 50 億豪ドル未満の企業

は、適格減価償却資産に関して、取得価額の金額を問わず、当該資産を最初に使用した年度又は使用可能となっ

た年度において、その取得価額の全額を損金処理することができる。グループ総売上の閾値により、鉱業金属セ

クターのような大規模資本集約型産業の大企業は、本制度を適用することができない。対象期間中に実施される

適格減価償却資産への資本的支出についても、その全額が損金算入可能となる。

中古資産に係る取得価額の全額損金算入については、グループ総売上が 50 百万豪ドル未満の企業に限定され

る。

既存の 150,000 豪ドルの取得価額を上限とする資産の即時償却制度は、引き続き適用可能であり、2021 年 6 月

30 日までの期間において、適格企業が当該資産を最初に使用した場合又は使用可能な状態とした場合に適用する

ことができる。

フリンジベネフィットタックス関連の措置

連邦政府は、解雇された又は間もなく解雇される従業員に対する再研修のための便益をフリンジベネフィットタ

ックス(FBT)の免除対象とする措置を導入する。当該措置がなく FBT が課税される場合、その税率は 47%で

あり、企業の負担は実質的に再研修費用の 2 倍となる。

また、連邦政府は、FBT に関する事務コストを削減するため、FBT に関連して雇用主(及び従業員)に保存義務

がある所定の宣誓事項やその他の記録に代えて、雇用主が既存の記録に依拠することができることとする権限を

ATO に与える。この措置は、関連する法律が施行された後の 4 月 1 日に開始する FBT の年度から適用される。

Carlo Franchina National Leader, Tax Advisory Services

“ 連邦政府の刺激策は、対象企業を絞って税制優

遇措置を強化し、企業の資本投資を支援するこ

とにフォーカスしている。”

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州政府の企業支援補助金に関する課税除外措置

州政府の COVID-19 関連の企業支援補助金は、Non-Assessable Non-Exempt (or NANE) income として法人税の

課税対象外となる。この措置により、州政府の補助金は、連邦政府が支給する Cash Flow Boost と同様の税務上

の取扱いとなる。この措置は当初はビクトリア州政府が 2020 年 9 月 13 日に発表した企業支援補助金に限定され

るが、ビクトリア州の企業と同様の状況に直面する中小規模の企業を対象とした類似する制度へ範囲が拡大され

る。また、本措置は 2021 年 6 月 30 日までに支給される補助金に適用される。

Key Insights • COVID-19 の影響を受けた適格企業を支援するため、一時的な欠損金の繰戻し還付制度が導入され、過年度に支払っ

た法人税の還付が可能となる。 • 連邦政府は、資産の即時償却制度の一時的な拡充措置の導入により、企業の投資促進を後押しする。対象企業は、

2022 年 6 月 30 日までの間、対象となる減価償却資産の取得価額全額を、即時に損金算入することができる。この措

置により、2020-21 年度から措置が終了するまでの間にわたり企業の投資を促進し、経済活動を支援する。 • 連邦政府は、雇用主が提供する再研修活動を FBT の課税対象から除外し、企業による従業員の再研修・配置転換を促

す。

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国際課税 オーストラリア居住会社の判定ルールに関する喜ばしい

明確化

居住会社の判定ルールに関する明確化

連邦予算案において、オーストラリアの居住会社の判定テストの明確化が盛り込まれており、オーストラリア国

外で設立された会社は、「オーストラリアとの重要な経済的つながり」がある場合にのみオーストラリアの税務

上の居住者として扱われる。会社は、次の両方の該当する場合に「重要な経済的つながり」テストを満たすこと

が提案されている。

• その中核的な商業活動がオーストラリアで行われている。かつ

• その管理及び支配の場所がオーストラリアにある。

この修正案は、オーストラリア高等裁判所が 2016 年に Bywater Investments Ltd v Federal Commissioner of Taxation で決定した後、オーストラリア税務局( "ATO")が税務判決(Taxation Ruling、TR)2004/15 で

長年のガイダンスを撤回する前に採用していたアプローチに居住会社判定テストを戻すことを目的としている。

また、この修正案は、居住会社の定義のレビューに係る税務委員会(Board of Taxation)の勧告内容と一致して

いる。

この修正案は、法案が Royal Assent を受けた日の後に開始する最初の税務年度から有効となる。

ただし、納税者は、ATO が TR 2004/15 を撤回した日である、2017 年 3 月 15 日から本修正案を適用する

オプションがあり、企業にとって喜ばしい修正案となっている。

オーストラリアの Managed Investment Trust ルールに関連する情報交換国リストの拡大

2021 年 7 月 1 日から、情報交換(Exchange of Information、EOI)国のリストが更新され、Managed Investment Trust (MIT) に係る 15%の優遇源泉徴収税率が適用される投資家の範囲が更に拡大される。

この法案により、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、香港、ジャマイカ、クウェート、モロッコ、

北マケドニア、セルビアがリストに追加される。

Key Insights • 「重要な経済的つながり」テストを導入してオーストラリアの居住会社判定ルールを明確化することにより、オース

トラリアの居住会社テストは Bywater に係る税務判決の前の内容に戻ることとなる。 • 香港を含む 9 か国がオーストラリアの情報交換国リストに追加され、オーストラリアの MIT に係る優遇源泉徴収税率

の対象となる可能性のある投資家の範囲が拡大される。

Denis Larkin Director, International Tax

“納税者は、居住会社の判定ルールに係る修正案

により、喜ばしい確実性を得ることができ、

Bywater 税務判決の前に広く受け入れられてい

た居住会社判定テストが復元されることにな

る。”.

Page 12: Federal Budget 2020...21 年の予算はGDP比11%の2,137 億豪ドルの赤字で、これは第二次世界大戦終戦時以来の水準である。 • 財務相は、プライベートセクターが家計消費、事業投資、新住居建設の回復を牽引することに強く期待している。

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物品・サービス税 (GST) GST に関しては、「殆ど見どころのない」予算案となっ

た。

今回の予算案で、政府は下記事項を提案している。

• 税務長官に、グループ総売上が 50 百万豪ドル未満の企業に適用される簡略化された会計手法を設定する権限

を付与すること

• 特定の外交・領事代表に対して Indirect Tax Concession Scheme を適用すること

また、唯一の興味深い点は、GST 歳入に関する政府の将来予測である。政府は、各州及び準州の GST 歳入は今

後毎年増加し続け、2023-24 年度までには 746 億豪ドルに到達することを見込んでいる。これは 2012-13 年度の

歳入と比較し 55%の増加に相当する。

Key Insights • 2021 年 7 月 1 日から、グループ総売上が 50 百万豪ドル未満の企業は、簡略化された会計手法の適用により GST に

関する手続簡略化の恩恵を受けることとなる。

Kavita Panjratan Partner, Indirect Taxes

Anthony Versace Partner, Indirect Taxes

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イノベーションと事業成長のための資金提供 研究開発優遇税制

政府は、以前発表された研究開発優遇税制(RDTI)の改

革の強化を検討している。 そのため、現在上院に提出さ

れている財務省法改正(研究開発税制優遇)法案 2019 (The Treasury Laws Amendment (Research and Development Tax Incentive) Bill 2019)は、現案からの修

正が予想される。

キーポイント:

1 現状の RDTI は来年まで変更なく継続される予定である。

2 修正案は 2021 年 7 月 1 日以降に開始する事業年度からスタートし、14,000 社超の企業を下記の通り

サポートする:

• 大企業(年間のグループ総売上が 20 百万豪ドル以上)

の場合、Intensity range(年間支出に対する研究開発費

割合のレンジ)によって、右表の Intensity premium(税

額控除率)が適用される予定である。

• 中小企業(年間のグループ総売上が 20 百万豪ドル未満)の場合、現金還付可能な税額控除率は、適用法

人税率に(現案の 13.5%ではなく)18.5%を上乗せした控除率となる見込み。また、年間の現金還付額の

上限は設けられない見込みである。

• 税額控除の対象となる研究開発費の上限の引き上げ(100 万豪ドルから 150 万豪ドルへの引き上げ)を含む、

現案で提案されている他のすべての変更は維持される予定である。

助成金 – 主要な助成プログラム

主要な助成プログラムは以下のとおり。

Sector Package Amount Initiative

Modern Manufacturing Strategy

$1.3 billion Modern Manufacturing Initiative (over 5 years)

Supply Chain Resilience Initiative

$107.2 million Supply Chain Resilience Initiative (over 4 years)

Manufacturing Modernisation Fund

$52.8 million Manufacturing Modernisation Fund (over 3 years)

Industry Growth Centres $50 million Industry Growth Centres (over 2 years)

$223.9 million ARENA R&D Initiatives Fund (over 4 years)

Tier Intensity range

Intensity premium

1 0-2% 8.5%

2 2%+ 16.5%

Alex Demetriou Partner in Charge, Accelerating Business Growth

Georgia King-Siem National Leader, Research & Development Policy

“イノベーションと事業の成長のために、研究開

発税制優遇措置と助成金プログラムの強化が見

込まれる。”

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Sector Package Amount Initiative

Renewable Energy and Recycling

$67.1 million Regional and Remote Communities Reliability (over 6 years)

$50.0 million Carbon Capture Use and Storage Development Fund (over 3 years)

$74.5 million Future Fuels Fund (over 4 years)

$190 million Recycling Modernisation Fund (over 4 years)

Regional Tourism

$207.7 million Building Better Regions Fund (over 5 years)

$51 million Regional tourism recovery measures (2 years)

Water Infrastructure and Agriculture

$2 billion National Water Infrastructure Development Fund (over 10 years)

$100 million Future Drought Fund (over 1 year)

Creative Industries and Events

$75 million Restart Investment to Sustain and Expand (over 1 year)

Female Leaders $83.8 million Funding for Female Founders and Leaders (over 5 years)

Universities and Research $1 billion New research funding for University sector to support Australian universities’ delivery of research (over 1 year)

Key Insights • 研究開発優遇税制の削減はなく、強化する方向で修正案が検討されている。

製造業に対する助成は、資源、食品、飲料、医療製品、リサイクル、クリーンエネルギー、防衛および宇宙セクター

のプロジェクトに優先的に割り当てられる見込みである。

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移民プログラム 2020-21 年度における移民計画水準は大きく変わらないも

のの、ビザカテゴリーの内訳に一部変更が発表された。連邦政府は、160,000 件の現行計画は維持するととも

に、健康及び経済が脅かされる現在の状況下において、より迅速な対応を可能にし、移民プログラムを用いてオ

ーストラリア経済への貢献を押し上げたいと考えている。

当該プログラムは、Employer Sponsored visa、Global Talent visa 及び Business Innovation and Investment Program (BIIP) visa の各 Skilled visa の目的に適合するように調整される。これらの visa は他の Skilled visa に優

先され、申請から付与までの期間もより早くなることが期待される。Family visa (Partner visa やスポンサーが

指定地域にいる visa 申請者を含む)も、同様に優先される。

BIIP Visas

• より価値の高い投資家、事業主、起業家を誘致する目的で、投資や visa 申請者の品質改善を促す変更

• 2021 年 7 月 1 日から、Visa Application Charge (VAC)が 11.3%増加

• 当該プログラムに加え、オーストラリア経済を押し上げることを目的に、最も優秀で最良な人材及び事業を誘

致するよう設計された Global Business and Talent Attraction Taskforce の設立

Family visa

• 現行の 43,732 件から 77,300 件に一時的に拡大される。このうち大部分(72,300 件)は Partner visa に割り

当てられる。

• Partner visa に関して、家族によるスポンサーシップが必要となる。これには、必須の人格チェック、visa 申

請者との個人情報の共有、そして配偶者に関する実行可能なスポンサーシップ義務が含まれる。

• 社会的一体性を促進することを目的として、Partner visa において、英語試験(スポンサー及び visa 申請者)

が導入される。これ単独で、今後 4 年間で 4.9 百万豪ドルを創出すると見られている。

COVID-19 に関連する優遇措置

• Pacific Labour Scheme 及び Seasonal Worker Program による visa 保有者、国境が再開するまでオーストラ

リアに渡航できない visa 保有者、並びに、一定期間内に入国できないために visa が失効してしまう

Prospective Marriage Visa (PMV)保有者、に対して VAC の払い戻しがなされる。

• 国境が再開し次第、オーストラリアに戻れるように、temporary skilled workers visa 保有者及び visitor visa 保

有者の事後的な visa 申請に関する VAC が免除される。

Key Insights • オーストラリア経済復旧の促進を目的として、特定の visa について優先的な割り当て

• 各 Visa プログラムが目的にかなったものとなるようより整合性の高い方策の導入

• 外国人を支援するための、様々な COVID-19 関連優遇措置

Belinda Wright Partner, National Leader, Immigration Services

“我が国の経済復旧は移民計画が鍵を握っている

ことを連邦予算は強調している”

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インフラと都市開発 予測どおり、インフラは連邦予算案と政府の経済回復プラ

ンの中核であり、いずれも強固な雇用創出をテーマにした

ものである。

財務省はパンデミック以降、新規かつ景気を刺激するインフラプロジェクトに対して 140 億豪ドルを投入すると

発表した。重要な投資として、輸送インフラプロジェクトへの新規資金拠出 75 億豪ドル、National Water Infrastructure Development Fund へ 20 億豪ドル、Local Roads and Community Infrastructure Program の

拡張へ 10 億豪ドル、さらに Roads to Recovery Program と Bridges Renewal Program への追加資金拠出が行わ

れる。 新規の重要なコミットメントとして、Coomera Connector (Coomera – Nerang 間) へ 750 百万豪ドル、New England Highway (Singleton Bypass) へ 603 百万豪ドル、Shepparton - Warrnambool 間の鉄道更新事業へ 528 百

万豪ドルが計上されている。さらに、South Geelong - Waurn Ponds Rail Upgrade への 605 百万豪ドルといった

複数プロジェクトの資金拠出が前倒し計上されており、Inland Rail への投資として Australian Rail Track Corporation への追加資金投入も行われる。The Perth City Deal に対しては、Edith Cowan University の CBD 地

区への移転を中心に 11 年間にわたって 326 百万豪ドルの資金が拠出されている。

今回の連邦予算案においては、メガプロジェクト(10 億豪ドル超のプロジェクト)への資金拠出よりも、短期間

で経済活動を促進させるプロジェクトへ焦点が当てられている。特筆すべき点として、政府は 20 億豪ドルを輸

送安全プログラムのための小規模アップグレードへ拠出すると発表した。これにより州、特別地域は向こう 2 年

の間に 6 か月ごと、3 回にわたって資金拠出を受けることが可能となる。このプログラムでは、デリバリーの成

功が想定されることを条件に、実際の支出額に対して資金拠出を受けることができる。

連邦予算策定において頻繁に使用される、いわゆる’shovel-ready / 即時着手可能’プロジェクトは建設前の段階ま

ではサポートされるものの、インフラは相対的に長期間にわたるものであることには変わりない。資金投入され

た多くのプロジェクトは、いまだに計画、調達、着工前の承認プロセスの段階にあることを鑑みると、官僚的な

プロセスをいかに削減し、承認手続を迅速化させられるかについて政府の各段階において継続的な検討が必要で

ある。

インフラ投資の効果を迅速に実体経済に反映させるためには、適時な資金投入、計画的な投資、適切な検証、及

び生産性向上のバランスが重要である。

さらに、国内のインフラ建設マーケットの加熱、主要コントラクターの財政難、主要プロジェクトの遅延の多く

は COVID-19 以前から既に存在していた。多くの州では実際に稼働しているインフラプロジェクトを既に抱えて

いる状況であり、政府のインフラへの新規拠出が即時の雇用創出につながるかどうかは、マーケットからデリバ

リーに対する政府の丁寧かつ建設的なサポート能力次第である。

Key Insights • パンデミック以降の新規かつ景気を刺激するインフラプロジェクトに対して 140 億豪ドルが投入される。 • 向こう 2 年間の輸送安全プロジェクト関連の支出に対し、20 億豪ドルが充てられる。使用しなければ資金拠出を受け

られないため、州、特別地域における使用を促進する。

Paul Foxlee National Sector Leader, Transport & Infrastructure

“ 予測不能な現状において、連邦予算は、雇用創

出、サプライチェーンにわたる活動強化、経済

成長を促すことができると実証されたインフラ

投資へ焦点を当てている .”

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気候変動及び環境 気候変動と環境変化に対する最も重要な政策は、Australian Renewable Energy Agency (“ARENA”)

への資金提供を今後 12 年間継続することを含む Low Emissions Technology Statement において既に公表済み

の内容である。2020 年のブッシュファイヤーによる甚大な被害の経験に関わらず、環境保護と気候変動への

予算支出がほとんど含まれていない。

2020 年 9 月に発表された通り、オーストラリアの経済回復は、新技術や開発中の技術への投資を通じ、より安

価で信頼性の高いエネルギーの供給を目的として提案された道筋を示した 19 億豪ドルの Low Emissions Technology Statement によりサポートされることになる。本声明では、2040 年までに年間で 2 億千万トン

の排出量を削減することを目標としているが、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーへの追加支援

は行われず、ガス産業や以下の新技術への投資に重点が置かれている。

• Carbon Capture Use and Storage(CCUS)開発基金への 5 千万豪ドルの投資;

• 水素輸出ハブ設立開発資金として 7 千 20 万豪ドル;

• 地方・遠隔地にあるコミュニティに対し安価で信頼性の高い電力を供給するための新しいマイクログリッド創

設のための資金拠出 6 千 7 百 10 万豪ドル;

• 生産性向上と排出量削減技術を採用する排出セクター企業を支援するための技術共同投資基金拠出 9 千 5 百

40 万豪ドル;

• 新しい自動車技術のインテグレートに必要なインフラ開発を促進するための Future Fuel Fund の創設資金 7千 4 百 50 万豪ドルの拠出

Australian Renewable Energy Agency (ARENA)

ARENA は、今後 12 年間で 14 億豪ドルのベースラインファンディングの補助が保証されている。この補助は多

額であるが、ARENA が 2012 年以降これまで総額で約 15 億 8 千万豪ドルの価値に相当する 500 以上の

プロジェクトを支援してきたことを考慮すると、現在の水準と比較して今後 12 年間の保証額は減少すること

となる。

Recycling Modernisation Fund への拠出

1 億 9 千万豪ドルは未処理のプラスチック、紙、ガラス及びタイヤの輸出を法律で段階的に廃止するために必要

となるインフラへの「革新的な投資」を支援するもので、現在、2024 年までの完了を予定している。

2019 年から 2020 年のブッシュファイヤーで我々が直面した気候変動の影響は、本年度予算案上は忘れ去られ、

今後 5 年間の「環境保護」としてはわずか 18 億豪ドルが予算計上されるにとどまっている。本予算案の内訳は

、海洋及び海洋生態系保護資金 6 千 7 百万豪ドル、国立公園の整備資金 2 億 3 千 3 百 40 万豪ドル、野生動物の

生息域回復資金 2 億豪ドル及び今後 4 年間にわたるオーストラリア気象局への支援資金 2 億 5 千 4 百万ドルなど

、幅広い環境問題にわたっている。

全体として、数十億豪ドルの予算は、オーストラリア経済と労働力を将来の低炭素社会において繁栄するための

準備を可能にするための投資には活用されていない。脱炭素化に向けた 73 兆 4 千億ドルを予算計上した韓国や

、6 千 7 百 25 億豪ドルの復興予算のうち 37%を気候変動の緩和及び適応関連プロジェクトに支出することを要

求している欧州連合(EU)のように、他の先進国はこの投資機会を利用している。

Adrian King Global Chair - Climate Change, Sustainability and ESG Services

“他の国とは異なり、本年度連邦予算案は長期的

かつ弾力的な「グリーン」リカバリーのための

計画に対する投資機会を逸している。”

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Key Insights • 19 億豪ドルの Low Emissions Technology Statement は排出量削減のための重要な原動力として位置付けられ、化石

燃料への依存が今後も継続することを念頭に置いている。 • 他の国とは異なり、本年度連邦予算は長期的かつ弾力的な「グリーン」リカバリーための計画に対する投資機会を逸

している。

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ヘルスセクター 政府はヘルスセクターに対し、2020-21 年度に 1,155 億豪

ドル、今後 4 年間にわたって 4,670 億豪ドルを投資するこ

とを公表した。

主な重点分野には進行中の COVID-19 への対応、メンタル

ヘルスサービスの増加、地方・遠隔地域における生活サポ

ート、民間健康保険の改革への対応が含まれる。

進行中の COVID-19 への対応

COVID-19 のワクチンが開発された際に、以下の通り政府

は安全で効果的にワクチンを利用するための生産供給契約

をコミットした。

• 以前公表されたクイーンズランド大学及び CSL Limited が開発するワクチンの利用のために 2 年間にわたり

170 億豪ドルを投じることに加えて、さらにワクチンの投与のために必要な重要な消耗品の供給・保管のため

に 24.7 百万豪ドル を投じる。 これは COVID-19 Vaccines Global Access (全世界が公平にワクチンにアクセ

スできるよう保証することを目指す計画)に加入するための以前公表された 123.2 百万豪ドルに追加して投じ

るものである。

更に、政府は以下の COVID-19 対応の施策を拡充した。

• COVID-19 関連の遠隔医療サービスを更に半年間拡充するために 2020-21 年度に 111.6 百万豪ドルを投じる。

• 2 年間に亘り 100.8 百万豪ドルを投じて年間 10 回の追加セッションを設けることにより、Better Access to Mental Health initiative の拡充を図る。また、ビクトリア州における COVID-19 の大流行により精神疾患を患

ったり困窮する人々をサポートするために 2020-21 年度から 2 年間に亘り 47.3 百万豪ドルを投じる。

民間健康保険

政府は以下の通り、民間保険を改革することをコミットした。

• 民間健康保険契約における扶養者の年齢上限の 24 歳から 31 歳への引き上げ、障害をもつ扶養者の年齢制限

の廃止、ウェブサイト(Medical Costs Finder)における専門家の自主的な報酬開示の強化によって、民間健

康保険をアクセスしやすく手頃な価格で提供できるものにするために、連邦予算案は 2020-21 年度から 4 年

間にわたり 19.5 百万豪ドルを投入することをコミットした。

• メンタルヘルスや一般的な更生医療サービスをはじめとする民間健康保険を通じて、在宅・地域医療をより利

用可能なものにすることをオーストラリア政府はコミットした。正式な導入に向けた諮問は 2020 年 10 月頃

開始される。

Key Insights • オーストラリア政府のヘルスパッケージは、雇用の創出とヘルス分野における生産性の向上による経済の回復のサポ

ートとより良い医療を提供することへのコミットメントが反映されている。 • COVID-19 Vaccine and Treatment Strategy の導入及びメディケア助成の遠隔医療や初期診療サービスの提供を含む

COVID-19 ヘルスイニシアティブの拡張への注力は、進行中の COVID-19 の大流行への対応として多額の投資するこ

とを示している。 • オーストラリア全土における回復力の構築及びメンタルヘルスの維持につながるため、メンタルヘルスサポートへの

財政支援の増額は歓迎されている。 • 地方、遠隔地域への注力は、そのような地域で生活または働いている人々への多大なサポート及びアクセスの改善を

示している。

Kerry McGough National Leader, Health Ageing & Human Services

Sarah Abbott Partner, Health, Ageing & Human Services

“ 引き続きワクチンの利用、遠隔医療やメンタル

ヘルスサービスの財政支援といった COVID-19への対応をサポートするための予算が投入され

ている。この投資は現在重要なものであるが、 ヘルスサービスが今後どのように提供されてい

くかについて変革的な影響を含んでいる。”

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内政、国家安全と サイバーセキュリティ 本予算案において、経済の繁栄を可能にするための国家安

全保障の重要性が認識されている。

国家安全保障 – 国家安全保障を重要な優先事項として示す

ため、連邦予算案はオーストラリア国家安全保障局の体制

を強化するために今後 4 年間にわたり 173.5 百万豪ドルを

投じる。Australian Transaction Repots and Analysis Centre (“AUSTRAC”)は、重大な金融犯罪への対応、犯罪

活動からオーストラリアの金融システムを保護する体制を

強化するため、今後 4 年間にわたって 104.9 百万豪ドル

(48.9 百万豪ドルの資本補助を含む)を受け取ることに

なる。さらに、2020 サイバーセキュリティ戦略において約束された投資の一環として、州との連携の強化を含む

サイバー犯罪への対応力の強化のためにオーストラリア連邦警察、内務省、AUSTRAC に合わせて 128.1 百万豪

ドルを投じる。また、2020 年連邦予算案は重大なテクノロジーに関連する国家安全保障を認証、アクセス、取り

組む政府の能力の強化(15.6 百万豪ドル)及び Safer Communities Fund の強化(35 百万豪ドル)に予算を割り

当てている。

サイバーセキュリティ - 8 月に公表されたオーストラリア サイバーセキュリティ戦略 2020 を通じて、今年度サ

イバーセキュリティは大きな注目を集めている。連邦予算案におけるサイバーセキュリティ項目のほとんどは、

上記の戦略において網羅されているが、今回の予算案において、電気・ガス・液体燃料に係る重要なインフラ

投資に対する補償についてより詳細に記載されている。2020 年から 2 年間にわたって 4.9 百万豪ドルがサイバー

領域のケイパビリティを拡充に、256.6 百万豪ドルが政府のサービスとオンラインペイメントを促進するための

デジタル認証の拡充に投資される。これらの投資は、世界をリードする生体認証ケイパビリティの開発及びデジ

タル認証の試用に焦点があてられる。これらは、文章及び顔認証そして、デジタル移行業者への投資を含むもの

である。

内政 (Home Affairs) - COVID-19 からのオーストラリア経済の回復をサポートするために、内政に対して多額の

予算を割り当てた。これには、2 年間にわたり 29.8 百万豪ドルをグローバルなビジネス及び人材誘致のタスクフ

ォースを設立、また 28.6 百万豪ドルを最新の貿易システムへのアップデート及び国境サービスの合理化をサポ

ートへ投じることを含む。これは COVID-19 への対応として、国境をまたぐヒト及びモノの安全な移動を可能に

するために種々のリファンドや減免措置を含む。オーストラリアは National Action Plan to Combat Modern Slavery 2020-2025 の導入に 10.6 百万豪ドルを投じることをコミットした。

連邦警察 – 大量動員能力を維持し、健全で機敏な労働力を提供するために、政府は オーストラリア連邦警察に対

して 300.2 百万豪ドルを提供することをコミットした。これらは、オーストラリア連邦警察準備金の導入によ

る、緊急の対応要請への補助、着手途中のオペレーションに対する支援及びスタッフの身体的・精神的な支援を

行うために地域のヘルスハブへの重要な投資のニーズを識別することが含まれる。

Key Insights • 政府は、国家安全保障局のキャパシティ強化を通じ、オーストラリア国民を守ることを引き続きコミットしている。 • 政府は、オーストラリアサイバーセキュリティ戦略 2020 に加え、デジタル認証ドメインへの投資を発表した。 • 政府は経済回復と繁栄を促進するため、モノ及び人を安全かつシームレスな方法で国境を行き来できることの重要性

を認識している。

Anthony Court Sector Lead, National Security & Justice

Monique Sheehan Partner, National Security & Justice

Ian Gray Partner, Cyber

“安全保障に焦点を置くオーストラリア政府の方

針は国家安全保障とサイバー領域に重点的な投

資を行う今回の連邦予算案においても引き継が

れている。”

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農業関連産業 今回の予算では、食品及び飲料、農業、輸出、研究開発と

イノベーションの支援に注力しており、干ばつへの備え、

山火事復興と地域開発を継続して行う。政府はその他の主

要なプログラムへの資金共有も継続して行う予定である。

製造戦略

予算案発表前に事前に 15 億豪ドル規模 の製造戦略が公表

され、これによりオーストラリアの食品、飲料と農業セクターがサポートされる。このうち、13 億豪ドル 以上

が産業間のコラボレーションと研究開発の商業化の促進に利用される。また、サプライチェーンの回復への取り

組みに 107.2 百万豪ドル。産業育成センター構想の拡大に 50 百万豪ドルが使用される予定である。

ジョブメーカーによる農業取引の簡素化

輸出評価プロセスの改善、規制の合理化(手続の遅延の防止を含む)、それを支えるシステムの提供は、12 億豪

ドルを超える農業関連の輸出の利益の実現に不可欠である。このため、今後の 4 年間で 328.4 百万豪ドルを確保

し、規制と形式的な手続きを最小化していく。食肉、家畜、シーフード、植物と植物生産品の輸出がこれらの政

策の対象となっている。更なる資金が貿易と国境サービスの改善に利用され、まずは農業水環境庁主導で試され

る予定である。

イノベーションと研究開発

20 億豪ドルの研究開発税制措置の強化、即時資産償却の延長、CSIRO 研究施設への資金提供により、イノベー

ションのための重要な研究開発活動のサポートが可能となる。この予算には、干ばつに打ち勝つたの基金への 86 百万豪ドルの拠出も含まれている。

その他のコミットメント:

• 地域: Building Better Regions Fund の期間延長、Regional Cooperative Research と Regional Connectivity program の継続的な提供に基づく、農村医療を含む地域社会・経済の回復のための追加的かつ継続的な支援が

実施される。 • 干ばつ:Drought Response, Resilience and Preparedness Plan の制定を継続し、Regional Investment

Corporation やその他の復旧対策への継続的な支援を提供する目的で 22 億豪ドルを充当。

• 規制:直近のレビューに応じた Environmental Protection & Biodiversity Conservation Act の改正に対し2年間

にわたり 36.6 百万豪ドルが拠出される。 • 水資源:今後 10 年間にわたって National Water Infrastructure Development Fund を通じた取り組みで水イン

フラは大幅に改善される見込みである。この取り組みにより、 新しいダム、堰(せき)、パイプラインの建

設を支援するために 20 億豪ドルの助成金支出が確約されている。

• 雇用:オーストラリアの若年者の農場での労働を奨励するための条項と地域移転のための助成金が発表され

た。この発表には広範な雇用創出の承認、優遇政策、スキルアップを促進するための特定の高等教育機関の農

業短期コースの支援が含まれている。 • 環境対策:Low Emissions Technology Statement 及び関連する 19 億豪ドルの予算の拠出が確約された。これ

は、土地管理者が炭素隔離サービスを提供するための優遇政策を創出するものである。

Robert Poole Partner, Management Consulting

Georgie Aley Director, Food & Agribusiness

“ 食品、飲料、農業関連セクターが COVID-19 全体の経済回復サポートに重要な役割を果たし

ている。”

Page 22: Federal Budget 2020...21 年の予算はGDP比11%の2,137 億豪ドルの赤字で、これは第二次世界大戦終戦時以来の水準である。 • 財務相は、プライベートセクターが家計消費、事業投資、新住居建設の回復を牽引することに強く期待している。

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Key Insights • 地域開発の農業関連産業に重点を置く製造戦略に 15 億豪ドルが拠出される。 • Drought Response, Resilience and Preparedness Plan、Regional Investment Corporation への継続的な支援、農家の

所得サポートの延長に対して 22 億豪ドルが拠出される。

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政府収支の主な変更点 下表は、2020 年度から 2024 年度の 4 年間の予測期間の収支見通しの変更の要約である;

Significant revenue reductions / expenditure increases

2020-24 $ billion

即時償却制度の強化 26.7

個人所得税減税の前倒し 17.8

JobKeeper ペイメントの延長 15.6

新規の交通インフラ投資 7.5

税務上の欠損金の繰り戻し還付 4.9

若年層失業者の雇用に係る補助(35 歳以下の従業員を雇用する場合の企業への補助金)の導入。 4.0

適格な福祉受給者のための追加経済的支援 2.6

研究開発税制の強化 2.0

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CFO/税務担当者向けチェックリスト 財務及び税務部門の責任者は、以下の措置の影響を優先事項として考慮する必要がある。

内容 チェック

1 個人所得税減税の前倒し

• 個人所得税減税の一部が 2020 年 7 月 1 日に前倒しされるため、PAYG 源泉徴収により従業員が前倒

しの恩恵を受けられるよう、自社システム等のレビューを実施すべきである。

2 一時的な事業投資促進措置

• グループ総売上が 50 億豪ドル未満である企業は、連邦予算案公表後に取得し

2022 年 6 月 30 日までに使用の用に供する適格資産の取得価額全額を損金算入することができる。

3 一時的な欠損金の繰戻し還付

• グループ総売上が 50 億豪ドル未満である企業に対して適用される可能性がある。

• 当該適格企業に欠損金が生じた場合、過年度に生じた課税所得に関して税額控除を適用できる。

4 再研修費用の FBT 免税措置

• 雇用主が、余剰人員又は余剰人員となることが見込まれる従業員に対して、異なる技能を必要とす

る職務を遂行できるよう再研修を実施する場合、当該再研修に係る費用は FBT の免税対象となる。

5 若年層失業者の雇用に係る補助

• 35 歳以下の適格従業員を追加雇用する該当企業に対して、週あたり最大 200 豪ドルが支払われる。

• 見習い/実習生への賃金を助成するための追加的な措置である。

6 研究開発優遇税制の強化

• 連邦政府は、現在検討中の法案よりも企業に有益となるよう研究開発優遇税制を修正することを提

案した。

7

現代における製造戦略

• 製造業の規模拡大および雇用拡大に焦点を当てたプロジェクトへの戦略的投資に対して資金を提供

する措置である。

• 資金提供は、特定の産業における製造業を優先して実施される。

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