トレーニングガイド: ETロボコン技術教育
目 次
概要 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 21. 目標 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 22. 技術領域と教育範囲. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 33. 前提知識 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 44. 所要時間 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 45. 教育の形式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 56. 技術教育に必要なもの . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6
6.1. PC . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6
7. 事前準備の詳細 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 77.1. 技術教育のテキストやサンプルを入手しておく . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7
7.2. モデリングツールが使えることを確認しておく . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8
7.3. 開発環境を構築し走行体を動かしておく . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8
8. 演習の進行 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 108.1. 技術教育1(1回目)7月展開 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10
8.2. 技術教育2(2回目)8月展開 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10
9. 演習の内容 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 119.1. 開発環境・要素技術セミナー. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11
9.2. 要素技術とモデルを開発に使おう . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11
9.3. 開発プロセスに沿って開発する . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 12
本資料について . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13
トレーニングガイド | 1
v2.5 2020-07-26 18:19:57
概要
モデルを使った開発を体験しよう!
「技術教育」は、ETロボコン参加者向けの公式トレーニングです。 競技で用いる走行体を開発対象機器として、分析・設計にモデルを使った開発を実際に体験します。
走行体を動かすのに必要な開発環境・要素技術の知識を得て、モデルとコードの対応づけや要素技術をモデルに取り込む方法を学び、機能を組み合わせてシステムを開発することに挑戦します。
モデルを作るのが初めての方でも、開発にモデルを使う方法や、モデルとコードやシミュレータ環境をどのように対応づけるのかについて、実践を通して具体的に学べます。
1. 目標技術教育では、次のような力がつくことを目標にします。
• ソフトウェア開発にモデルを使う意義・価値を理解しています
• ソフトウェア開発に使うモデルを読み書きできます
• モデルとコード(プログラム)を対応づけできます
• モデルを使って開発を進めることができます
トレーニングガイド | 2
v2.5 2020-07-26 18:19:57
2. 技術領域と教育範囲この技術教育だけで、組込みシステムの開発やオブジェクト指向、モデリング等の技術のすべてを身
につけることはできません。技術教育で学ぶことができるのは、組込みシステムにおけるごく初歩的な
モデルの作成方法や、モデルに対応したコードを作成する簡素な方法に過ぎません。
図 1 は、ETロボコンに関係する技術領域と技術教育の関係を示した図です(技術教育のテキストか
らの抜粋です)。
図 1. 技術領域と技術教育の教育範囲(テキストより抜粋)
さらに、図中の「モデリング教育」は、「要素技術とモデルを開発に使おう」と「開発プロセスに沿って開
発する」に分かれています。
この図からわかるように、技術教育で提供しているのは、ETロボコンの参加者が必要とする技術領域
のうち、走行体のデバイスの扱い方、開発環境の利用方法、モデルを使ったシステムの開発方法な
ど、基礎的な範囲に限られます。本格的な開発には、さらに、プログラミング、組込みシステム、制御工
学といった複数の分野の知識や実践力が必要になってきます。
このように、この技術教育は、みなさんにとって、組込みシステム開発やモデルを使ったシステムの開
発を実践できるようになるためのスタートラインに立つ機会になっているのです。
トレーニングガイド | 3
v2.5 2020-07-26 18:19:57
3. 前提知識技術教育を受講するにあたっては、次のような前提知識があることを想定しています。
• C言語/C++ 言語のプログラミング経験、あるいは類似の言語におけるプログラミング経験がある
こと
• UMLの表記法に関する知識があれば、よりスムーズに演習に取り組めるでしょう
プログラミング演習ではありません
技術教育で提供するのは、プログラミングの演習ではなく、ソフトウェア開発のモデルの作成方法と、設計したモデルからコードに直す方法です。最後には設計モデルを参照して実際に走行体を動かすコードを作成しますので、プログラミングの経験がないと、演習についていけなくなることがあります。
教材は、分析・設計のためのモデリング演習に注力するため、開発言語の詳細については取り扱っていません。受講するみなさんが、C言語/C++ 言語のプログラミングがある程度身についていることを前提としています。必ずしも高度で十分な経験がなくても演習できるようにはなっていますが、事前にある程度プログラミング演習を済ませておけば、技術教育が本来提供する教育内容をよりよく理解できるようになるでしょう。
4. 所要時間次のような所要時間を想定しています。
• 2日間(約16時間):動画教育の実施時間
◦ この時間は、教材として想定している動画コンテンツの閲覧、演習を実施する時間です。
◦ 環境構築、受講のための準備時間、理解や演習に必要な自己学習時間など、各自が別途必要
とする時間は含みません。
◦ 動画教育とは別に質疑応答の機会を設ける予定ですが、質疑応答の時間は含みません。
トレーニングガイド | 4
v2.5 2020-07-26 18:19:57
5. 教育の形式
実際に作って動かす演習が中心
モデルの作成・プログラミング・etrobo環境を使って走行体を動かすプログラムを動かす、といった演習が中心の実践的な教育です。
参加者のみなさんが自分自身で実際に走行体やモデルを使うことで、モデルとコードのつながり、コー
ドと走行体の動作のつながりを実感できるよう構成してあります。
教育を受ける前に開発環境を準備しておきましょう
開発環境の準備ができていないまま受講すると、提供する演習が実施できません。実際に作ったり動かしたりすることで体験を通じて学び、どのような知識や技術が必要なのかを身を持って知る機会を逸することになります。
トレーニングガイド | 5
v2.5 2020-07-26 18:19:57
6. 技術教育に必要なもの
6.1. PC技術教育の演習は、Windows10 PC を使う人を想定して準備してあります。
Mac や Linux の環境の方は、自分で環境を構築しておくか、参加者メーリングリストで相談してくだ
さい。
モデリングツール astah* Professionalについても、macOS版やLinux版があります。自分たちの演
習で使う環境にあった版をインストールしてください。
昨年までの開発環境があっても、必ず環境を見直しましょう
必ず開発環境を見直してから参加してください。 もし、技術教育の推奨環境と自分たちの開発環境を別々に保持したい場合には、それぞれを別の場所に構築すれば併存できます。
開発環境の問題は事前に解決しておきましょう
ETロボコンの教育は、原則としてWindows10 PCを使っている方を想定した演習を実施します。開発環境の構築、サンプルの動作確認などはあらかじめ済ませておきましょう。問題があれば事前に参加者用Slackやメーリングリストで質問するなどして解決しておいてください。
トレーニングガイド | 6
v2.5 2020-07-26 18:19:57
7. 事前準備の詳細
(極めて重要) あらかじめ開発環境構築と動作確認を済ませておくこと
モデリング入門の演習である「要素技術とモデルを開発に使おう」と「開発プロセスに沿って開発する」 では、実際にモデルとコードを作成し、走行体を動かす演習を実施します。
すぐ演習に入れるよう、環境環境の構築、etrobo環境に添付されているサンプルによる動作確認は済んでいることを想定しています。つまり、あらかじめ演習の実施に必要なもの(開発環境、モデリングツール)を準備し、さらに演習用テキストやサンプルを入手しておく必要があります。この演習には環境環境の構築や動作確認の時間は含まれていないので注意しましょう。
繰り返します。
• 環境構築を構築し、サンプルプログラムがビルドできることを確認してください。
• そのサンプルプログラムが動作することを確認してください。 かならず、その動作確認に使っているPCを持参してください。
7.1. 技術教育のテキストやサンプルを入手しておく参加者ページのダウンロードのページから、次の資料を入手します。 また、アドバンストクラス向けに
は、技術教育の演習は提供していませんが資料を配布しています。参考にするとよいでしょう。
表 1. テキストやサンプルのファイル
演習 ファイル名
開発環境・要素技術セミナー basics.zip
要素技術とモデルを開発に使おう beginners.zip
開発プロセスに沿って開発する
chap-00-04.zip
chap-05-ans.zip
chap-06-ans.zip
chap-07-ans.zip
chap-08-apx.zip
トレーニングガイド | 7
v2.5 2020-07-26 18:19:57
演習 ファイル名
アドバンスト向け技術教育資料 advanced.zip
7.2. モデリングツールが使えることを確認しておく必要に応じて各自でモデリングに使用するツールを用意しておきましょう。 モデルはモデリングツール
がなくても記述することができますが、ツールを使うことで記法にあった表現ができたり、複数の図の
間で一貫性を取りやすくなります。 本演習ではastah* Professionalを使います。
演習で展開するモデルのファイルもastah*形式となります。参加者のみなさんは無料のviewerを使用
して参照することが可能です。また、各ダイアグラムを画像形式でも提供しています。
7.3. 開発環境を構築し走行体を動かしておく必ず「技術教育より前」に開発環境を構築し、etrobo環境の動作を確認しておいてください。
開発環境を構築し、走行体を動かせるようになっていないと、技術教育1、2の演習はできません。ま
た、開発環境の構築には時間がかかることがありますので、余裕をもって予め準備しておきましょう。
7.3.1. 開発環境を構築しておく
技術教育の受講までに、EV3RTの開発環境構築(etroboパッケージのインストール)を済ませておき
ましょう。
開発環境の構築とEV3本体の動作の確認には、以下のWebサイトを参照してください。 このサイト
でEV3/シミュレータ双方に対応する開発環境を配布しています。また、EV3RTの説明、環境構築の
手順、動作確認の手順が提供されています。
• etrobo環境構築ガイド
◦ github.com/ETrobocon/etrobo
必ず、etrobo環境を使いましょう
2020年度の技術教育では、etrobo環境を使います。提供された以外の環境構築方法では、演習のプログラムがコンパイルできない、期待通り動作しないといったことが起きる場合があります。 以前の環境がある場合でも、技術教育に合わせて新しい版で環境を構築しましょう(旧版が保存したいときは、別の場所に構築すれば併存できます)。
トレーニングガイド | 8
v2.5 2020-07-26 18:19:57
7.3.2. シミュレータの動作を確認しておく
技術教育の受講までに、etrobo開発環境で動作確認用のサンプルプログラムを作成し、シミュレータ
の動作確認を済ませておきましょう。
7.3.3. Visual Studio Codeに慣れておく
技術教育では、Visual Studio Codeを使ってプログラムを作成します。
演習中は、みなさんで同じやり方で進めましょう。
次のような基本操作を確認しておきましょう
• ファイルの作成、削除、保存、別名での保存、扱えるファイル拡張子の確認
• 文字単位、単語単位、行頭・行末、文頭・文末などへのカーソルの移動
• テキストの入力、削除、コピーやペースト、検索、置換
• その他提供されているコマンドの使い方
トレーニングガイド | 9
v2.5 2020-07-26 18:19:57
8. 演習の進行技術教育の演習の大まかな進行です。動画の教育に関してはご自身やチームのペースに合わせて受
講してください。 わからないところはSlackや地区のフォローアップ教育で質問しましょう。
8.1. 技術教育1(1回目)7月展開
演習 使うもの
開発環境・要素技術セミナー 講義資料
要素技術とモデルを開発に使おう(モデルとコードのつながりを知る演習、要素技術をモデルに組込む演習)
演習テキスト、 PC(etrobo環境、モデリングツール)
8.2. 技術教育2(2回目)8月展開
演習 使うもの
開発プロセスに沿って開発する(開発プロセスの講義と最初の演習、演習1から演習3、まとめ)
演習テキスト、 PC(etrobo環境、モデリングツール)
トレーニングガイド | 10
v2.5 2020-07-26 18:19:57
9. 演習の内容
9.1. 開発環境・要素技術セミナー
項目 内容
ETロボコンシミュレータの紹介
シミュレータで走行体を動かすため、走行体がどのような事を出来るかを確認します
ETロボコンシミュレータの開発環境
ETロボコンシミュレータの開発環境の特徴について学びます
参考情報 技術情報・参考文献を紹介します実機走行体に関する情報を紹介します
9.2. 要素技術とモデルを開発に使おう使用するもの
演習テキスト、PC (etrobo環境、モデリングツール)
やること
1. 事前準備のチェック
◦ 開発環境の確認
(確認が目的、開発環境はこの日までに構築しておくこと)
▪ モデリングツールのインストール
▪ テキストと演習用データが入手できていることの確認
2. コードとモデル図を対応づけてみよう
◦ サンプルコードからモデル図を作る
◦ 見なおしたモデル図からコードを作る
3. 要素技術をシステムに組込もう
◦ サンプルプログラムの振舞いの図を描いてみる
◦ なめらかに動かすための調査と実験
◦ 実験結果をモデル図に反映する
◦ モデル図に対応したコードを作る
トレーニングガイド | 11
v2.5 2020-07-26 18:19:57
9.3. 開発プロセスに沿って開発する使用するもの
演習テキスト、PC (etrobo環境、モデリングツール)
やること
0章: 演習の準備
• EV3を使ったシステムを開発するために使用する開発環境の構築
• 演習用データの入手
1章:なぜ、モデルが必要なのか?
• 組込みソフトウェアの開発に、モデルを使うことの理由・意味の理解
2章:ソフトウェアの開発の進め方とモデルの活用
• 組込みソフトウェアの開発手順(開発プロセス)の理解
• 開発プロセスにおける、モデルの活用方法の理解
3章:例題)モデルと部品を使ってソフトウェアを設計する
• 開発環境と実際の演習に使う環境、ライントレースの方法についての説明
• ライントレースを題材にした、モデルと部品を使ったソフトウェア設計の手順の紹介
4章:例題の続き)モデルからソースコードを作る
• 前の演習で作成したモデルを、ソースコードに変換する具体的な方法の説明
5章:演習1)システムに新しい機能を追加する
• 部品とモデルを使ったソフトウェア開発を実際に体験する
• これまでの演習で学んだ開発方法を使って、ロボットに別の機能を追加する
6章:演習2)異なる機能を持つロボットを開発する
• モデルを使った差分開発を体験する
• これまでの開発に使った部品の一部を再利用して、別の機能を持つロボットを開発する
7章:演習3)これまでの部品を使って新たな機能を実現する
• 既存の部品を再利用した開発を体験する
トレーニングガイド | 12
v2.5 2020-07-26 18:19:57
• これまでに開発した機能を部品とし、これらを組合せた新たな機能を持つロボットを開発する
8章:参考文献、その他の情報
• モデリングやモデルを使った開発の参考になる文献の紹介
• モデリングに使うことができるその他の記法の紹介
• 学習の発展のために紹介しておきたい技術や情報の紹介
9章:演習のまとめ
• 講義や例題で演習したことの確認
• 演習1)から演習3)で学んだことの確認
本資料について資料名: トレーニングガイド: ETロボコン技術教育 (技術資料)
作成者: © 2020 by ETロボコン実行委員会
この文書は、ETロボコン公式トレーニング「モデリング入門」2015のシラバスをもとに、2016年以降
のETロボコンの技術教育全体のシラバスに再編集したものです。2019年からは誤解を受けるシラバ
スという呼称をやめ、トレーニングガイドと呼ぶことにしました。
v2.5, 2020-07-26 18:19:57, 2020年用
トレーニングガイド | 13
v2.5 2020-07-26 18:19:57
Top Related